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頭が重たい

更年期障害には色々な症状がありますし、1人1人、症状の出方は異なります。

しかしどんな症状があったとしてもその症状を放っておいたり、なんの対処もしないままだと更年期障害の症状が別の病気を引き起こすこともあります。

今回は更年期障害の身体に出てくる重い症状や、更年期障害をきっかけに始まる別の病気、また更年期障害の症状によく似た別の病気についてご紹介していきます。

身体に出てくる重い症状にはどんなものが?

更年期障害と言えば「のぼせ」などが有名ですが、実はそうした身体に出てくる症状を放っておいたり、特に気にしないままにしておくとちょっとした症状も重症化します。

最初は、更年期障害で身体に出てくる症状で重いなというもののなかでも、比較的多くの人が経験しやすい症状をご紹介します。

ホットフラッシュ

ホットフラッシュ

のぼせや異常発汗の延長線上にあるような「ホットフラッシュ」。

これは軽めののぼせや発汗が重い症状になったものです。

通常の人であれば激しい運動をしたり、極度の緊張を感じたりしたときに現れる「顔ののぼせや紅潮」、「たくさんの発汗」が何のきっかけもないのに現れるのがホットフラッシュ。

本人はいきなり、いつこうした症状が出てくるのかわからないので、ストレスが多くなったりします。

特に接客業をしている人、サービス業の人では、仕事をしていていつこのようなことが起こるか緊張してしまい、ますますホットフラッシュが起こりやすい精神状態を自分で作ってしまうことにもなりかねないのです。

ホットフラッシュは自律神経の乱れが大きな原因なので、できるだけストレスを感じにくいようにしたり、リラックスできる時間を増やしやり、さらには睡眠時間をきちんととることで改善に向かいます。

蕁麻疹・ブツブツ

ホットフラッシュのところでも触れていますが、更年期では自律神経が乱れます。

自律神経の乱れというのは体の不調を引き起こしやすくなるものです。

免疫を落としたりするのも、最初は自律神経の乱れがきっかけとなることが多いのですね。

免疫が落ちるということは、今まで大丈夫だったものに対して「拒否感」がでてくることだってあるのです。

つまり、今まではハウスダストには免疫があって平気だったのに、免疫が落ちたことでハウスダストにアレルギーが出たりするということです。

こうしたアレルギーは蕁麻疹やブツブツとした吹き出ものを引き起こしてしまいます。

更年期あたりの年齢になってアレルギーが出てきた?という人は、耳鼻科や皮膚科、アレルギー科に行くことも大切ですが、自分の身体のホルモン状態がどうかを見るために更年期専門外来を受診することが大切です。

胃の不調

更年期には軽めの症状で吐き気やめまいを感じることがあるのですが、こうした症状を放っておくと食欲不振になって胃を荒らしてしまうことに繋がります。

食欲不振で好きなものばかり食べていると、栄養も偏るので更年期の症状を改善することはますます難しくなります。

食生活と生活習慣の乱れというのは、そのまま胃の不調を重症化させる道を加速します。

更年期でどんなに食欲がなかったとしても、食事の栄養バランスだけには気を付けて、そして大豆イソフラボンやプラセンタなどの不足しがちな栄養素の積極的な摂取を心掛けることが大切ですよ。

味覚異常

風邪を引いたときにちょっと味覚がおかしくなる経験をしたことはありませんか?

更年期で自律神経が乱れてきたり、寝不足が続いたりすると正常な判断が難しくなって味覚異常を引き起こしやすくなります。

特に辛みや塩味に疎くなったり、甘みに疎くなったりするので、過剰な味付けの食事をとりやすくなります。

そうなると高血圧や糖尿病への道筋を作ることになりかねないので、できたら更年期のさなかは料理本などの味付けの80%くらいをめざして薄味を心掛けるのが大事です。

重い症状を放っておくとどうなるの?

ここまでにご紹介した更年期障害での「重い症状」は、重いと言いつつ、軽い症状の延長線上にあるものなので、本人が気を付ければ改善することも多くあります。

しかし、上記でご紹介したような症状をずっと放っておくと、更年期障害の症状をきっかけとした「他の病気」を引き起こすことになります。

例えばこれからご紹介する「坐骨神経痛」などは、更年期障害による筋力の衰えに気づかずにいた場合に、同時に骨粗しょう症が進んでいて起きたりします。

更年期障害というのは全身としてすすむ症状で、しかも「気づかないうちに」進んでいくものが多いので、とにかく自分の身体と丁寧に向き合う姿勢が大切になってくるのです。

逆流性食道炎

逆流性食道炎

逆流性食道炎とは

原因ははっきりとしていません(色々と個人によって異なるようです)が、何らかの原因で胃液や胃の内容物が食堂を逆流してしまう病気です。

胃液や胃の内容物が逆流すると、食道の粘膜が炎症を起こしてしまうので、慢性化するといつも胃や食道が荒れた状態になり、食事が美味しいと感じにくくなります。

逆流性食道炎と更年期障害

更年期障害では、胃がムカつく感じや胸やけ感が続くことがあります。

これは年齢による消化機能の低下もありますが、全体的な意欲低下による食欲低下も原因として挙がります。

ここにストレスや睡眠不足が重なると、消化機能の低下がますます強くなるので胃の不調が逆流性食道炎に繋がるようになるのです。

更年期になると必ず逆流性食道炎になるわけではありませんが、胃の不調や食欲不振を放っておくとこうした病気を引き起こすことにもなりかねないので注意です。

また、胃の不調を更年期障害の1つだろうと考えていると、更年期障害とは全く何の関係もなく逆流性食道炎だった、というこもあるので胃に不調を感じたらすぐに病院に行きましょう。

むずむず脚症候群(むずむず病)

むずむず脚症候群はむずむず病とも呼ばれている病気なのですが、そのネーミングから周りに理解されづらい病気です。

病名からは想像もできないほど深刻な病気で、足の不快感から不眠症になってしまったり、うつ病になって自分で命を絶ってしまうケースまである非常に怖い病気です。

日本人女性の2%~5%がむずむず脚症候群に悩まされているとの報告があります。20人~50人にひとりという計算になるので決して患者数は少なくない病気と言えるでしょう。

原因はこちらもまだはっきりとは解明されていませんが、鉄欠乏症が引き金となっていたり、ドーパミンの分泌異常によって引き起こされると言われています。

夜眠ろうとすると、足(その他の部位にも発症することがあります。)の中の方を虫が這っているような感覚に襲われて、掻いても叩いても症状は治まらずに眠りにつけないというものです。

更年期障害はホルモンバランスが乱れやすい時期でもあるので、むずむず脚症候群が発症しやすい状況下にあるといえます。

思い当たる症状がある場合は、一度むずむず脚症候群についても一緒に専門家に相談してみるのがおすすめです。

むずむず脚症候群←こちらからむずむず脚症候群について詳しいサイトに飛べます。

骨粗しょう症

骨粗しょう症とは

骨の中が「す(鬆→骨粗しょう症の「しょう」に当たる)」があるようにスッカスカになり、骨が異常にもろくなってします病気です。

スカスカの骨は少しの衝撃でも骨折をしやすくなるので、高齢になった際に骨折からそのまま寝たきりになり、要介護状態になる人も少なくないのです。

骨粗しょう症と更年期障害

更年期になると、エストロゲンの減少により女性の骨のカルシウム量は減少を続けます。

意識的にカルシウムを補充し、ビタミンDを体内で生成するように日の光を浴びるとか、サプリメントで摂取するようにしないと、女性の骨は見る間にもろくなってしまうのです。

更年期にさしかかった時にどれだけ骨のメンテナンスをするかという部分が、高齢に向かう女性の骨の強さに影響を及ぼしてくるんですね。

また、更年期頃から女性は筋力もガクンと落ちるので、筋肉が支えてくれていた重さを骨にも支えさせるようになると、骨の負担は増えます。

弱くなっているところにさらに筋肉が支えきれなくなった重みまで乗っかってくると、骨はその負担に耐えられず、もろすぎる骨は自重で折れることすらでてくるほどです。

坐骨神経痛

坐骨神経痛とは

人間の腰から足にかけては「坐骨神経」という神経が通っています。

この坐骨神経が色々な原因により圧迫されたり、刺激されたりすることで痛みやしびれといった症状が出ます。

この症状のことを「坐骨神経痛」と呼びます。

ほとんどの人が、先ず腰痛を発症し、次にお尻や太ももの裏側、すねや足先に痛みやしびれを感じるようになります。

人によっては、こうしたマヒや痛みのせいで歩行障害になることもあります。

坐骨神経痛と更年期障害

更年期障害では、筋力の低下から、今まで支えられていた体重などを支えることが難しくなり、その重みが坐骨神経を圧迫しやすくなった結果、坐骨神経痛になることが多いようです。

また、更年期障害で精神的に抑うつ状態が続いていると、色々なことが億劫になり、体を動かす機会が少なくなってますます筋力が低下する…という悪循環が起こりやすくなります。

するとどんどん筋力が低下→坐骨神経への圧迫が大きくなる→坐骨神経痛の悪化…というサイクルができてしまいます。

更年期を迎える頃になったら、無理がない程度でOKですので、毎日少しずつ運動をするようにしましょう。

円形脱毛症

円形脱毛症とは

この脱毛症は一般的な男性型脱毛症と区別される脱毛症で、自己免疫病の1つです。

円形脱毛症と更年期障害

更年期障害では、色々と自分の身体や気持ちが思い通りにいかないことがストレスとなって重なり、ストレス性で円形脱毛症になることが多いですね。

他にも、更年期の不安定な精神状態でなければ気にしないことを、更年期による情緒不安定によって気にし過ぎてしまい、ストレス過多になることもあります。

また、更年期という時期は家族の環境変化(子どもの受験や独立・結婚、パートナーの退職、親の介護など)があることが多い時期なので、こうしたストレスも重なって、不安定な気持ちをさらに不安定にし、円形脱毛症を引き起こしやすくなります。

もちろん、女性ホルモンが減少することによる「髪の抜けやすさ」も原因として重なるので、ホルモンを補充することで、脱毛が改善に向かうことはままあります。

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乳がん

乳がんとは

女性であれば1度は耳にしたことがあるであろう「乳がん」は、乳房の中の「乳腺」から発生するガンです。

乳房の中の脂肪から発生することはないので、胸の大きさと乳がんのなりやすさにはほぼ関係はありません。

乳がんと更年期障害

更年期に乳がんになりやすいということは特に言われていません。

ただ、乳がんと更年期障害にはちょっとした関係があります。

それは乳がんの治療がホルモン療法であるので、そのために更年期障害で出てくるような症状が副作用にあるということです。

乳がんの70%はホルモン感受性の乳がんと言われていて、エストロゲンを細胞内に取り込んで増殖するタイプなのです。

このため、乳がんの治療ではエストロゲンの抑制をするのですね。

ということは、更年期障害でツライ時に乳がんの治療をしていると、更年期障害に対するホルモン療法は使えないということになるのでしょうか?

残念ながら、ホルモン感受性の乳がんの治療中にはエストロゲン作用のあるホルモン治療を更年期障害へは利用できません。

その代わりではないのですが、乳がん治療と更年期障害を並行している時は、エストロゲンの作用がない漢方薬が用いられたりします。

当帰芍薬散(トウキシャクヤクサン)桂枝茯苓丸(ケイシブクリョウガン)が、乳がん治療と更年期障害治療を並行するときに良く使われる漢方となっています。

 

脳梗塞

脳梗塞とは

脳に血液を送る動脈血管が詰まることで起こる病気です。

脳へ血液を送るための血管が詰まると、脳細胞への血液が流れなくなるので、脳細胞が死んでいき、脳梗塞が起こるのです。

脳梗塞と更年期障害

更年期で女性の体からエストロゲンが減少すると、体内では脂質の代謝異常も起こってきます。
 
エストロゲンというのは動脈硬化の原因となっている「コレストロール」の上昇を抑制する働きもあるのですが、エストロゲンが減少するとコレストロール(特にLDL)が上昇しやすくなります。

LDLが上昇すると、血管に血栓ができやすくなるので、心筋梗塞脳梗塞になりやすくなるのです。

もともと肥満気味の人や、高脂肪の食べ物が好きな人は食事の面や運動の面から気を付ける必要が出てきます。

リウマチ

リウマチとは

もとは「リウマチ性疾患」とか「関節が移動性に痛む病気」という意味の言葉です。

広い意味では、関節リウマチだけでなく、各種の膠原病や近縁の疾患、痛風まで「関節が痛む」すべての病気を指すときもあります。

現在では、自己免疫の機序で起こってしまう関節炎を指すことが主流になっています。

もし、以前から尿酸値が高かったため「これは完全に痛風だ」という風にわかっている場合は痛風について詳しいサイトがあるのでそちらにも目を通しておくといいでしょう。

リウマチと更年期障害

リウマチを発症する女性の多くは閉経後ということで、更年期に関節痛や手足のこわばりを感じるとリウマチを疑う人は多いようです。

ただ、更年期とリウマチに関しては「閉経したからリウマチになった」という明確な関係はありません。

また、リウマチは何が原因で発症するのか明確な理由もわかっていません。

ですので、有効な予防策をうつのは難しいかもしれませんが、更年期になって関節痛がひどいなどという場合は、できるだけ早めに病院で血液検査をする必要があるでしょう。

さらに、更年期による関節痛は冷やさずに温めることが大事ですので、間違っても冷やして血行を悪くするようなことがないようにしましょう。

更年期障害の症状と似ている別の病気って?

更年期障害と非常によく似ていて、さらに更年期障害をきっかけとしてなってしまうことも多いという病気に「自律神経失調症」という病気があります。

この病気は老若男女問わずなることがあるのですが、病名にもなっている「自律神経」の乱れが更年期に起こりやすいこともあって、更年期障害を端緒として自律神経失調症を引き起こすことが多いと言われています。

自律神経失調症

自律神経失調症とは

自律神経失調症とは、病名の通り、自律神経(交感神経と副交感神経)のバランスが崩れることで起こす様々な症状のことです。

代表的な症状は「だるさ・めまい・片頭痛・動悸・不眠・腸内環境の悪化・耳鳴り・手足の冷えやしびれ・頻尿・ほてり」などです。

いかがですか?これだけ見ても自律神経失調症がいかに更年期障害の症状に似ているかわかりますよね。

特に手足の冷えやしびれ、体のほてりに関しては更年期障害の症状と重なりやすいので、更年期の人は自律神経失調症と気づかずに更年期障害と思い込む人もいっぱいいます。

自律神経失調症と更年期障害

ここまでにご紹介してきたように、自律神経失調症というのは更年期障害をきっかけにしてなることもあれば、更年期とは関係なくなる人もいます。

更年期の人が、更年期によるホルモンバランスの乱れから自律神経のバランスを崩したのであれば、ホルモン治療をすることで自律神経も整うことがあります。

一方で、自律神経の乱れがホルモンの乱れを呼び、更年期の様な症状を引き起こしていた場合は、自律神経が整うように生活リズムや食事バランスを整えることで更年期の症状が軽くなることもあります。

これは更年期障害?自律神経失調症?チェックでみてみよう!

 
自分の体調の悪さが更年期障害であるのか、自律神経失調症であるのかを見極めるために、下のチェック項目で自律神経失調症チェックを試してみてください。

該当する項目が0~1個の場合は「自律神経のバランスOK」、該当する項目が2~3個だと「自律神経にやや負担があり」、4~6個で「自律神経失調症になりかけ」、7個以上「すぐに専門医を訪ねて治療の相談を」という感じです。

では始めてみてください。

  • 1)めまい・耳鳴りが1日に何回もある。
  • 2)立ちくらみがよくある。
  • 3)胸がギュッと締め付けられることがある。
  • 4)動悸がしたり、脈拍が飛ぶようなことがよくある。
  • 5)胸がざわめく感覚がよくする。
  • 6)息苦しくなることがよくある。
  • 7)夏でも手足の冷えが取れない。
  • 8)胃腸の調子が慢性的に悪い。
  • 9)便秘や下痢を繰り返す。
  • 10)肩凝りや腰痛がなかなか治らず、常に痛むような気がする。
  • 11)手足のだるさがとれない。
  • 12)顔だけ、または手足だけというような「部分だけ」発汗がある。
  • 13)どんなに寝ても朝の疲労感が抜けない
  • 14)気候の変化で体調を崩しやすい
  • 15)明るい場所でやけにまぶしく感じることが多い。
  • 16)どれだけ寝ても寝たりない
  • 17)悪夢を見る回数が多かったり、金縛りによくあう
  • 18)風邪を引いていないのに咳をよくする
  • 19)食べ物を飲み込むことがしづらいことがある。
  • 20)ろれつが回らない時がよくある。

さていかがだったでしょうか?

こうした項目で当てはまるものが多い時は、更年期専門外来でこうした自律神経系の症状に関してもしっかり診察をしてもらうことをおススメします。

また、普段から自分でケアできる方法としては、や薬を積極的に摂取することは身体にとっての負担が大きいので、副作用のないサプリメントが適しています。

身体の中から整えてくれるため、サプリメントを飲み始めてすぐに気持ちが楽になったり、身体が軽く感じるようになる人も多いですよ。一度試してみてくださいね。