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40代の更年期

日本人女性の平均閉経年齢は50歳と言われています。

更年期というのは閉経を挟んだ前後5年ずつくらいというのが一般的。

ということは、多くの人は45歳~55歳の10年間を「更年期」として過ごすことがあるということです。

更年期の症状は、どんな症状が出るかとか、どのくらいの深刻さで出るかということについて、かなり個人差があります。

しかしながら、たとえどういった体質の人でも更年期が始まる前から対策をとっていると功を奏することが多いようです。

今回は更年期を迎える人が多くなる40代にスポットを当てて、40代をどう過ごせば更年期とうまく付き合えるかをご紹介していきます。

閉経はいつ?早ければ40代で閉経する人も

冒頭で、現代の日本人女性の平均閉経年齢は50歳と紹介しました。

しかしこれはあくまでも「平均」なので、早い人はもっと早いですし、逆に遅い人は平均年齢より遅くなります。

ではどうして閉経の年齢に差が出てくるのかということについて、少しだけお話をします。

女性には生涯決まっている「原始卵胞数」というものがある

女性には、「この子の性は『女性』だよ」となった胎児の頃から体内に持っている「原始卵胞」というものがあります。

これはいわゆる「卵子の素」と言えるものです。

ちなみに胎児の女の子は、この原始卵胞を700万個持っているとされています。

しかし、この原始卵胞は10か月を胎内で過ごして生まれた時にはすでに「200万個」にまで減っています。

そして月経が開始する時には20万~30万個になっているというのが通常です。

ではこの卵子の素である原始卵胞はすべて健康な卵子になるかというと、そんなことはありません。

きっとあなたも聞いたことがあると思いますが、女性が通常の月経で排卵するのは1個の卵子です。

けれども、この1個の卵子は実は厳しい選抜を潜り抜けてきた「選ばれし卵子」なのです。

女性の原始卵胞からは、1排卵周期で1000個前後の卵子が「育とう」とします。

原始卵胞から卵子が「育とう」とするスイッチを入れるのが、女性ホルモンなわけで、スイッチが入った原始卵胞は1年くらいの年月をかけてじわじわと育っていきます。

これは植物の種が光や温度、水などの条件がそろうことで発芽の準備を整えるのに似ていると言えるかもしれません。

もし原始卵胞を植物の種と例えると、ここで思い出したいのは「種はすべてが発芽しない」ということです。

光や温度や水という条件が同じでも、なぜが発芽しなかった種ってありますよね。

原始卵胞も同様で、女性ホルモンによって「育とう」スイッチが入れられても、結局排卵の2週間前くらいにしっかり育っているのは1000個のうちの5~7個程度と言われています。

育たなかった原始卵胞は、身体に吸収されます。

そして元気に育った選抜組は、そこからさらに勝ち抜きレースを潜り抜けて、晴れて1個の卵子が「排卵するに値する」クイーン卵子となって排卵されるのです。

では育つ原始卵胞と育たなかった原始卵胞で何が違うのかというと「ホルモンの感受性」が違うと言えます。

最後まで育ったクイーン卵子は、ホルモンの感受性が良かったために勝ち抜くことができ、一方で育てなかった原始卵胞はホルモンの感受性が弱かったのです。

こうして、女性の身体では毎月経周期に合わせて1000個の原始卵胞がレースを繰り広げ、減少を続けるわけです。

ですから、単純に考えると、同じ月経周期の女性なら、13歳で月経が始まった人と、15歳で月経が始まった人では15歳で月経が始まった人の方が閉経は後になると考えられますよね。

原始卵胞と閉経

さて、ここまでに女性が生涯持っている原始卵胞というお話をしてきました。

では閉経を迎える時、女性の身体には1個も原始卵胞が残っていないのかというと、それは違います。

あなたは「卵子の老化」という言葉をどこかで聞いたことはありませんか?

これはメディアに取り上げられたことで大きな話題となった言葉です。

ただ、卵子が老化するというのは、言葉そのものはセンセーションですが、閉経ということを考えると、本当は昔からあったはずの考え方なのです。

というのも、よく女性の間では「出産適齢期」なんてことが話題になりますが、これだって実際には昔から「20代前半~20代半ば」が女性にとっては初産の妊娠・出産に適していると言われてきたからです。

今は医学も発達していますし、女性も昔に比べて心身ともに若いので、この年齢もやや上がっていますが、やはり生物としての初産の適齢期や妊娠・出産の適齢期というのはあるでしょう。

ではどうして20代半ばくらいの年齢が妊娠や出産の適齢期になるかというと、20代前半~半ばというのは女性が性成熟という意味で、1番ホルモンが安定しやすくなる時期だからです。

また、自然の状態で原始卵胞が1番ホルモンの感受性を強くする時期だからとも言えます。

つまり、女性の原始卵胞というのは、ある年代を超えると(この年代には個人差がありますが)徐々に徐々にホルモン感受性が弱くなるのです。

原始卵胞がホルモン感受性を弱めると、その原始卵胞は育ちにくくなり、結局はうまく卵子にならないまま、身体に吸収されることになります。

原始卵胞が育っていないことに気づくと、ホルモンを分泌する側は「もっとたくさん育ってくれないと!」とたくさんの原始卵胞に呼びかけるようにホルモンの分泌を多くしたりします。

そうしたホルモンの分泌に応えるべく、原始卵胞は一応育とうとはしますが、頑張ってもやっぱり途中から育つことができずに1000個の原始卵胞は1000個とも育つことなく体内に吸収されます。

すると卵子が育たなかったことに気づいたホルモン分泌側がさらに「育ってー!」とホルモンを分泌し…というサイクルになり、ホルモンそのものが枯渇することにもなります。

このようなホルモンの過剰分泌→枯渇とか、卵子が育とうとするけどやっぱり無理でした…が続くと女性の体内ではホルモンバランスは崩れまくりなわけです。

最終的には、ホルモンの呼びかけに応じられる「感受性」を持った原始卵胞が5万個をきるくらいになった頃にホルモン分泌側が「もう育てって呼びかけても無駄…?」ということで卵子を育てることが終わり、閉経になるのです。

原始卵胞の感受性や減少する女性ホルモンへの対策は?

原始卵胞の感受性が弱ってくると、ホルモンが頑張ってたくさん分泌されたり、頑張りすぎて枯渇したりするということは上でお伝えしました。

このようにホルモンのバランスが崩れると、女性の身体はみるみる「不調」な部分が多くなります。

例えば更年期障害の代表的な症状には「ホットフラッシュ」という突然ののぼせや発汗があるのですが、これもホルモンバランスが崩れたことにより自律神経の乱れによって起こることです。

しかし、これまでにお伝えしてきたように、女性の身体では常に原始卵胞とホルモンが作用しあっていたことを知っておくと、来るべき更年期にも対策が取れそうな気がしませんか?

例えば原始卵胞の感受性が弱まっていることで女性ホルモンが分泌し過ぎの枯渇を起こすなら、女性ホルモンを補充できるような食生活をしておくとか…。

他にはどうしてもホルモンの分泌異常で自律神経のバランスが崩れるというのであれば、ホルモンの作用以上に自律神経を乱さないように生活リズムには気を付けるとかです。

実は40代というのは、更年期に対してできるセルフでできるアプローチと言うがたくさんある年代ともいえるのです。

40代が知っておきたい更年期のための「セルフケア」

40代では前半と40代後半で更年期になっている人の割合が随分異なってきます。

ということで、40代が知っておきたい更年期のためのセルフケアについては、40代前半と40代後半で項目を分けて考えたいと思います。

更年期はまだかな?という40代前半のあなたへ

〇〇をつける習慣を!

月経周期も乱れておらず、日常生活でも特に変わりがないという40代前半のあなたは、「更年期?まだまだ先のこと」とつい考えがちだと思います。

しかし、上でお伝えしたように、原始卵胞が卵子になるべく活動を開始するのは、実際にその卵子が排卵される1年前からなのです。

ということは、今は特に何も体調の変化を感じていなくても、もしかしたら身体の中では閉経に向けた動きがあるかもしれません。

ですから、40代に入った女性にぜひぜひやってもらいたいのは「基礎体温」をつけることなのです。

「え?基礎体温なんて子どもが育ってからつけてないよ?」というあなた、基礎体温って妊娠のためだけにするものではないのですよ~!

女性のとっては本当は月経開始の頃からず~っとつけておいて欲しいものです。

更年期を感じていない40前半の女性でも、毎日基礎体温をつけていると、徐々~に「無排卵月経」が多くなってくることに気が付くかもしれません。

出血はあるし、月経周期もそんなにくるっていないよと思っていても、排卵していない無排卵月経が増えてきたら、身体は少しずつ閉経の準備かもしれません。

何より、そうして自分の身体の状態を知っておくと、ちょっとした体調不良や精神的なしんどさが見えてきたときに「これはホルモンバランスが崩れたから?」と推測できたりしてパニックにならなくて済みます。

さらには、いよいよ更年期かな…?という時に、基礎体温を記録しておいたグラフなどは病院での診察に非常に役に立つ資料になります。

食事のなかに「女性ホルモン」に似た成分を摂り入れる

更年期を迎えていないとなかなか気づかないのが「食事に気を付ける」ということ。

でも日常生活の中で何より更年期対策になるのはやっぱり食事なんですよね。

ではどんなことに気を付けると良いかというと、先ずは食事において「女性ホルモンに似た成分」をもつ食材を摂り入れることが◎!

有名なのは大豆イソフラボン

この大豆イソフラボンは女性ホルモンの1つであり、更年期生涯と深いかかわりを持つ「エストロゲン」に似た成分です。

「大豆」という名前がつくだけあって、大豆製品に多く含まれています。

食事として取り入れやすいのは豆乳や豆乳製品、または納豆などですが(もちろん水煮の大豆などもアリですよ)、豆乳や納豆は結構好き嫌いもありますよね。

そうした場合は今は便利な「サプリメント」も多くありますので、利用してみると良いでしょう。

他にも、エストロゲンが減少すると肌のハリが少なくなったり、シミができやすい、しわができやすいなどということもあるので、それらを防ぐためにプラセンタを含むサプリを利用するのも良いですよね。

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体を動かす努力をする

更年期障害が重くなる人には、身体を動かす習慣がなかったという人が多くいると言われています。

これは習慣的に結構な運動をするということではなくて、軽い運動でも良いので動いた方が良いということです。

例えば毎日ジョギングをすることが無理でも、通勤までの道で朝だけは1駅分歩いてみるとか、愛犬の散歩コースをちょっと長くすると言った身近なことから始めるのがベストです。

いきなり「毎日走るぞ!」と決めて3日で辞めても意味がないですよね。

更年期対策には毎日少しでも良いので続けることが大事。

40代前半という、更年期がまだこれからという時期に、少しでも身体を動かす習慣を身につけておけば、更年期が始まったころにも体力がついていたり、ストレス解消法が増えていたりできっと自分が救われるはずです。

カルシウムを意識する!

更年期に入り、さらに閉経をしてしまうと、女性ホルモンであるエストロゲンは急減します。

こうなると実は女性の身体を支える骨からはカルシウムが流出しやすくなると言われています。

さらに、カルシウムの骨への接着もしづらくなると言われています。

ですから、更年期にさしかかっていない40代前半からとにかくカルシウムの摂取には気を付けましょう

カルシウムも大豆イソフラボンと同じくサプリメントで容易に摂取できるので、積極的に摂ることができますよね。

できたら、天日干しのイリコなどをまるごと食べることができれば、カルシウムとビタミンDを一緒に摂れるので更年期による骨粗しょう症予防になりますよ!

そろそろ更年期かな?という40代後半のあなたへ

さて、40代も半ばを過ぎ、後半に突入してきた…というあなたはきっと少しずつ自分の身体の変化を感じ始めているのではないでしょうか?

更年期による体調不良や精神的なしんどさは本当に個人差が大きいのですが、それでもどんな人でもやっておける更年期対策はあります。

体調不良を感じたら1度は婦人科or更年期専門外来へ

更年期による体調不良は本当に個人差が大きいというのはこのページでも何度もお伝えしています。

ただ、どんなに自分の体調不良が「軽いな」と思うものでも、1度は婦人科や更年期専門外来を訪ねておくと良いと思います。

更年期障害というのは閉経によってのみホルモンのバランスが崩れるわけではありません。

ストレスによってもホルモンバランスは崩れ、自律神経のバランスはガタガタになるのです。

ですから、更年期障害かな?と思ったら、とりあえず何かの時に駆け込める「ホスピタルライン」を作っておくことが重要です。

今は更年期障害の症状がほとんどなかったり、かなり軽くても、これから環境によるストレスなどでいつ症状が悪化するかはわかりません。

そんな時に、面識のある婦人科系の医療機関があれば、カルテがあるので次にかかったときに話が通りやすくなりますからね。

症状が重くなって1から医療機関を探すのは一苦労です。

症状が軽めのうちに先ずはかかりつけの婦人科系の医療機関を作っておきましょう。

しんどさを軽減するためならホルモン補充も考えて

40代後半でいよいよ更年期に入ったかも…?!という人は、自分が日常生活でしんどさを感じているのであればホルモンの補充治療もしっかり視野に入れてください。

ホルモンの補充をすることで悩んでいたことが嘘のように毎日の生活が楽になる人は多くいます。

もしホルモンの補充まではしなくてもイイと言われた…という人でも、サプリなどで大豆イソフラボンのような女性ホルモンに似た成分を補充することで心身の調子が改善する人もたくさんいます。

そもそも更年期というのは閉経にともなう女性ホルモンの急減が大きな要因の1つなのです。

ですから女性ホルモンや女性ホルモンに似た成分を補うことで、大方の症状は改善すると言われています。

今後の身体を考えた栄養補給も

更年期障害の症状そのものを軽減するために、女性ホルモンの補充や女性ホルモンに似た成分を補給することを上でお伝えしました。

これはそのまま、更年期障害の症状を改善してくれることが多いのですが、実は更年期障害では目には見えない部分にも変化が起こっていたりします。

それは「骨」。

女性は閉経後、骨密度がぐんと減ってしまうというのはよく言われています。

そしてよく言われているにも関わらず、日本女性の骨密度というのはなかなか改善しません。

これは若いころの過剰なダイエットや偏った食生活が影響していることが多いのですが、それを今から嘆いても仕方ありません。

ですので、更年期を迎えた人はとにかくしっかりとカルシウムを摂って、ビタミンDを体内に多くして、骨密度を下げないことが大切です。

それでなくても日本の女性は若いころから骨密度が不足している人が多いと言われているのです。

サプリでも天日干しのイリコでも方法は何でも構わないので、とにかく骨を丈夫に保てるような食生活をしましょう。

ちなみに、成人の女性が1日に必要なカルシウム量は600mg~700mgです。(上限は2300mg)

これはコップ1杯(200cc)の牛乳を3杯飲めばよい量ですが、それすら今の時代の女性には不足しているのです。

しかも、カルシウムは摂取しただけでは体内に吸収されません。

牛乳ですら40%程度の吸収率しかないと言われているのです。

(ということは本当に牛乳から必要なカルシウム量を摂取しようとすると、単純に考えれば1500mg分のカルシウムが摂れる牛乳を飲まなければいけません。
 つまり3杯の2.5倍、7.5杯=1.5リットルの牛乳を飲む必要があるのです。)

こうしたことから、最も効率よく吸収性の良いカルシウムを摂取できるのはサプリメントかもしれません。

女性用のカルシウムサプリには他にもうれしい成分を含んでいるものがたくさんあるので、更年期対策を機に骨についても労わってみてくださいね。

更年期の時期にどれだけ骨を丈夫に保てるかというのは、50代、60代という先の年代でどれだけ健康に過ごせるかに直結しますからね!