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更年期障害について調べていると「漢方薬」が効くって情報が出てくることはありませんか?
更年期障害は主に女性の体の不調で、ホルモンが関わっている症状になります。
こうしたホルモンがかかわる症状には「体全体の調子」を診るということで東洋医学や漢方が用いられることが多いですね。
では更年期障害に本当に効果のある漢方薬はどんなものなのでしょうか?
治療を続けてもどうも良くならないな…と感じたら漢方薬を試すと良い?!
更年期障害の症状に悩んで婦人科や更年期専門外来を訪れた人は、そこでほとんどの人が血液検査をしたうえで適切な治療へと進むことになります。
ただ、ホルモン治療をしてある程度の症状が改善しても、どうもすっきり良くならないなぁと言う人は案外多いんです。
西洋医学の治療というのは総じて「症状をピンポイントに改善させる」ことに強いので、例えば「頭痛→鎮痛剤で治まる」「便秘→便秘改善薬で改善」「気分の落ち込み→精神安定剤でOK」という治療は得意です。
しかし、これらの症状が実は複雑に絡まっていた場合、症状をもぐらたたきのように1つ1つ潰したとしても、根本が改善されていないので、どうもすっきりしない…ということに繋がりやすくなります。
一方で漢方薬というのは、即効性が高いものは多くないのですが、ある程度の期間にわたってきちんと服用すると「体の構造」を根本的に改善してくれることが多いのですね。
どうして漢方薬がこのような効き方をするのかというと、次のような理由があるからです。
積み重ねられた膨大な「経験則」
漢方というのは中国から伝わってきた「中医学(中国独自の医学)」が日本で育ったものです。
そう、実は漢方というのは考え方の基礎は中国からのものでも、その発展においては日本の中で伝統的に育てられてきたものなのですね。
それゆえに、日本人の体質に即して発展してきた歴史があります。
さらには、日本で育った植物を使って作られている漢方薬も多かったので、この点においても「日本人の体質」にしっかりと適したものが多くできました。
しかも、最初に漢方薬の考え方が日本に伝わったのは紀元後5~6世紀と言われているので、今では1500年以上の伝統を重ねてきていることになります。
こうした膨大かつ丁寧に積み重ねられてきた経験則をもとにして、漢方薬は「Aさんのような体質の人に出る症状には◇を」「Bさんのような体質の人に出る症状には△を」と個人に合わせた調合ができます。
具体的に言うと、同じ「便秘」とか「動悸」という症状での、体つきのがっちりした血圧高めのAさんと、やせ形で胃腸の弱いBさんとでは出される漢方薬は同じにはならないことが多いのです。
これがなぜかというと、漢方を用いる「東洋医学」の考え方として、症状そのものを抑えることを目的とせず、症状が出ないような体にするという「生体の機能を高める」ことを目的としているからなのですね。
ですから、更年期障害による頭痛や便秘、動機などの症状についても「ただ出ている症状を抑えるため」に薬を出すのではなく、「どうすれば根本的に症状の出ない体になるのか」を考えて漢方が処方されることが多いのです。
こうしたことを踏まえて、更年期障害で治療をしているけれど、どうも体調不良がすっきりしないな…と感じたら、かかりつけの婦人科医に漢方薬を処方してもらえないか相談をしたり、東洋医学の専門医を訪ねて、自分に適した漢方を処方してもらうなどすると効果的ですよ。
更年期障害の治療で使われる漢方薬にはどんなものがある?
あなたは漢方薬と聞いてすぐに思い浮かぶ医薬品会社などはありますか?
漢方薬を扱っている会社で有名なのはやはりツムラといった感じでしょうか。
ツムラの漢方薬は市販品も処方薬も多く、特に市販の漢方薬では国内のシェアも高いので、まず最初にツムラが扱っている漢方薬で更年期障害に効果のある市販薬をご紹介します。
当帰芍薬散料(トウキシャクヤクサンリョウ)
めまいを伴う更年期障害や頭重がひどい人に。肩凝りや冷え性、貧血の傾向がある人にもおススメの漢方薬。
加味逍遥散(カミショウヨウサン)
体質として虚弱系で、便秘がちな人におススメの漢方薬。特に更年期で便秘がひどくなった人は1度試してみると良いかと思います。
桂枝茯苓丸料(ケイシブクリョウガンリョウ)
体力には自信アリ!と言った人が更年期の各種症状(特にのぼせ系)に悩んでいる時に役立つ漢方薬。
温清飲(ウンセイイン)
もともと月経不順がちだった人で、更年期に肌つやが悪くなったり血行不良になったりしたらおススメの漢方薬。
半夏厚朴湯(ハンゲコウボクトウ)
体の症状より精神的な症状が気になる人におススメの漢方薬。不安神経症などによる動悸がある人は試してみると◎!
以上が市販薬で更年期障害による頭痛や便秘などに効果が高いツムラの漢方薬です。
市販薬は誰でも気軽に手に入るので便利ではありますが、漢方と言えど副作用がないものではないので、できたら薬局の薬剤師さんに相談をしながら購入しましょう。
ツムラの市販薬以外でも、漢方薬の市販はされています。
次にご紹介する種類のものは、更年期障害での治療で処方薬でも用いられることがある漢方薬です。
- 温経湯(ウンケイトウ)
- 五積散(ゴシャクサン)
- 女神散(ニョシンサン)
- 当帰四逆加呉茱萸生姜湯(トウキシギャクカゴシュユショウキョウトウ)
- 八味地黄丸(ハチミジオウガン)
- 苓姜朮甘湯(リョウキョウジュツカントウ)
- 防風通聖散(ボウフウツウショウサン)
こうした漢方を含むものの方があなたの体質に合っている場合は、少しずつ新しいものに移行していくのが良いでしょう。
漢方というのは即効性というより「じわじわ効く」という感じなので、Aが効かない!すぐにBへ!と変えるより、少しずつ体に慣らしていったり、少しずつ次のものに移行していく方が良いとされています。
更年期障害での漢方薬で便秘や動悸、頭痛も改善する?
先ほどの項でご紹介したそれぞれの漢方には、それぞれの効果があります。
ただ、漢方というのは(即効性のあるものもあるのですが)、どちらかというと体に徐々に馴染んで効いてくるというものが多いのが特徴です。
ですから、今現在、更年期障害で感じている頭痛や便秘、動悸と言った症状が、漢方を飲むと西洋医学での薬のように「すぐに効く!」ということは少ないかもしれません。
しかし、西洋医学での薬が、今の便秘を明日には解消できるものだとしても、便秘になりやすい体質を変えていない限りは、結局便秘は慢性化してしまいます。
さらには薬に頼らないと排便することが難しい状態になることもあります。
けれども、自分の体質に合った漢方を選べていて、しっかりと自分の体に即した漢方の使用を続けることができていたら、便秘に「なりやすい体質」が解消されることが多いですね。
ですから、漢方薬が体質に合っていれば気が付いたらいつの間にか便秘薬に頼らなくても自分なりの排便ペースを作ることができていたりします。
こういった点が「漢方は体本来の機能を上げる」ということの理由なのです。
他にも、更年期障害で現れやすい頭痛や動悸にしても、頭痛になりにくい体を作るとか、動悸がしにくい体をつくることを手助けしてくれるのが漢方薬なので、気が付いた時には体調が改善している…ということがあるのです。
もしあなたが漢方薬を飲むことにちょっと抵抗があっても、漢方薬に含まれている成分や材料が使われているサプリなどもあるので、そうしたものを利用して体調管理をするのも1つの方法ですよ。
サプリであれば漢方薬よりはハードルが低いと思いますし、続けて飲むことで健康維持になるので始めやすいかと思います。
特に更年期障害での症状などについては、更年期障害に効果のあるサプリを飲むことで改善される症状も多いので、漢方を始める前にまずはサプリで体調を整えるのも良いですよ。