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更年期障害の薬

風邪薬やアレルギーの薬を飲むと、症状は良くなるけどとっても眠くなる…とか、鎮痛剤を飲むと頭痛は良くなったけど胃が荒れた…ナドナド。

薬を使用して身体の不調を調えようとすると、そこには大なり小なり、何らかの「副作用」があることはあなたもきっと経験したことがあるはず。

だからこそ、更年期障害の治療は「薬でできますよ」と言われても「副作用が怖くない?」と思ってしまうのも仕方がないですよね。

結論から言うと、更年期障害の治療で使用する薬にもやはり「副作用」と呼ばれるものはあります。

ただし、どんな薬でも「作用」「副作用」は人によって「出方」が違ってくるものです。

今回は更年期障害の治療薬と副作用について掘り下げます。

更年期障害の治療で使う薬にはどんな副作用が?~体験談より~

更年期障害の治療に使われる薬というのは、「ホルモン剤」を柱にして、そこから色々と個人個人の心身の症状に合わせて枝葉がついていくのが通常です。

つまり、更年期障害で治療薬を用いる人のほとんどは、ベースとして「ホルモン剤」を用いた治療をしているということ。

ここでは、治療薬の副作用について、実際にどんな副作用があるのかを、体験談に沿ってご紹介します。

いきなり出血??!!

更年期障害の治療として主流である「HRT(ホルモン補充療法)」を始めたAさん。

Aさんはすでに周期的な月経も不定期の月経もなくなり、それでもイライラや体調不良が続いたのでHRTを受けました。

すると投薬開始から数週間後に月経のような出血が!!

びっくりしたAさんはすぐにかかりつけの婦人科に行きましたがそこで言われたことは「よくあることですよ」とのこと。

そう、HRTというのはエストロゲンの補充であることが多いので、こうした月経のような出血は頻繁におこる「副作用」なのです。

閉経後年数が経っていて、周期的な出血はもう嫌!という人には、持続的併用療法という治療法によって、薬の量をコントロールして出血を起こさない治療もできるので、事前に医師に相談をしましょう。

胃腸の具合が良くない~…!

Bさんはまさに閉経の準備が始まった40代後半の女性です。

ホルモンバランスの崩れによる体調不良と精神的不調で仕事がうまく回らなくなることを危惧してHRTを始めました。

すると、月経前に起こるような「胸の張り」や「下腹部の張り」、そして「胃腸の不調」が起こりました。

これは治療開始して2~3ヶ月続きましたが、薬に体が慣れたのか時間の経過とともに徐々に落ち着きました。

ただ、こうした不調がかえって日常生活に支障をきたすようなら、迷わず医師に相談をしましょう。

投薬の回数や量を調節して、不快な状態をなるべく起こさないような工夫をすることもできます。

また、同じ成分でも(なぜか)製薬会社が違うと大丈夫ということもあるので、同じ成分でいくつかの種類があるものであれば、薬自体を変えてもらうことをしてみても良いかもしれません。

自分の体調や体質に1番適した治療を見つけることが大事です。

子宮筋腫が成長しちゃった?!!

もともと、30代半ばで第2子を出産した際に、子宮筋腫があることを指摘されていたCさん。

更年期障害の症状に悩む40代後半までは、その子宮筋腫もあまり大きくなることなく切除もせずに過ごしてきました。

しかし、更年期障害の治療でHRTを行うようになると、更年期障害の症状そのものは改善したものの、ナント子宮筋腫は大きくなってしまったのです!

実際にHRTを行ったことで、子宮筋腫が刺激されて大きくなったり、痛みが出るということはそこそこ起こるものと言われています。

今まで経過観察をしていた子宮筋腫が、明らかにHRTのせいで大きくなってきたとか痛みを生じさせてきたということになれば、医師との相談のうえで治療を中止することができます。

中止まではしなくても、エストロゲンの量を減らしたり、作用の弱いものに変更して治療を続けることもあります。

他にも漢方薬(桂枝茯苓丸や当帰芍薬散)と併用する形で弱いHRTを使用するということもあります。

子宮筋腫は大きくなりすぎると本人の体を圧迫し、しんどい思いをすることになるので、子宮筋腫があることがわかっている場合は、HRTを始める前に医師としっかり相談をすることが大事です。

また、HRTを始めた結果、子宮筋腫が大きくなってしまった場合の方針もざっくりと考えておくこともお勧めします。

乳房に痛みが!!!

30歳を過ぎて受けた乳がん検診で「乳房繊維腺腫」があることを指摘されていたDさんは、HRTによる「貼り薬」を使用していたら、乳房が痛みを持つようになりました。

かかりつけ医に相談すると、これはHRT(エストロゲン投与)の副作用とのこと。

乳房繊維腺腫は良性のものであり、がん化することはないので、この治療による張りや痛みと乳がんを結びつける必要はありません。

ただ、やはり乳房の傷みや張れが気になる…という時は、ホルモンの量を乳房に刺激を与えないよう減量したり、投与の方法を変更することができるので、医師に相談をしてみることが何より大事です。

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他にはこんな心配が?

ここまででHRT治療の副作用としてよくある「不正出血・胃腸不良・子宮筋腫の成長・乳房の痛み」などをご紹介しました。

その他にも、HRTの治療でホルモン剤を使うという人には、次のような心配が起こることがよくあります。

HRTを受けると子宮がんになりやすくなる?

今までの治療法である「エストロゲン単体での長期にわたる投薬」を受けると子宮がんになりやすくなるというのは実際に報告があります。

ただこのことがわかってきた最近では、エストロゲンにプロゲステロン(黄体ホルモン)を同時投与する方法が主流となってきています。

さらにこうすることで、子宮体がんの発生しやすさはHRTを受けていない人よりも低くなることもわかってきています。

血縁者に乳がんの人がいるので心配

米国における過去のHRT臨床試験では、5年以上の長期にわたりHRTを実施すると、乳がんになる確率がわずかながら上がるという結果が出たことは確かです。

具体的な人数では、同じ投薬状況の1万人について3人ぐらいは、乳がんの発生者が増えるという程度です。

この1万人に3人という結果は、血縁者に乳がん患者があるかどうかという点で変わりはありませんでした。

つまり、血縁者に乳がん患者がいようがいまいが、長期にわたってHRTを行っているとわずかながら乳がんのリスクが上がるということです。

それでもやはり、乳がんというのは血縁者に乳がんの人がいると、自分も乳がんになるリスクが高めということもあるので、そうした事情を丁寧に相談できる医師と治療をしていけることが望ましいですね。

HRT治療のことは他科でも共有すべき?

例えばあなたにアレルギーがあって、春の時期だけ耳鼻科を受診するとします。

そこでアレルギー治療を行うのであれば、婦人科でのHRTでホルモン剤を投薬していることはしっかり医師や薬剤師に伝えておきましょう。

逆に、婦人科以外で持病などがあって投薬しているものある場合(風邪などの一時的な場合でも)、婦人科の医師や薬を受け取る薬局の薬剤師には、婦人科の薬以外で飲んでいる薬があることをきちんと伝えましょう。

HRTというのは欧米では一般的な治療なので他科の医師にも周知されていることが普通ですが、日本ではまだまだ婦人科の医師以外には知られていないこともよくあります。

他科で出される薬によっては、ホルモン剤と合わないから一時的にホルモン剤は止めて、と言われることも少なくありません。

実際にはHRTのホルモン剤は乳がんや子宮がん、また血栓症や血糖降下剤という治療以外では、どんな療法と並行しても問題はないとされています。

しかし、他の科の医師の認識不足で「うちの薬を飲んでる時はホルモン剤はストップ」と言われることがあるので、そうした場合は婦人科の医師に相談して判断をするようにしてくださいね。

更年期障害の治療と薬と日本人女性

欧米では随分前から更年期障害というのは「薬を利用して軽減するのが当たり前」になっています。

しかし、日本の一般女性の間ではまだそうした考え方は主流ではなく、どちらかというと「気の持ちよう」的なところで我慢する人も多くいます。

ただ、実際には更年期障害というのは、女性の体の中で起こっている「ホルモンバランスの大きな変動」であるので、気の持ちようで改善するわけではないのです。

エストロゲンの減少と日本人女性の更年期

更年期障害というのは、かなりざっくり言うと「エストロゲンの減少による女性機能の変革」って感じです。

思春期から「女性の性成熟」に向けて高められてきたホルモンバランスは、年齢に応じてその役目を終え、閉経を迎えます。

もちろん現代女性にとって妊娠や出産は義務でも責任でもありませんが、人間を1種の生物として考えた時、人間の女性というのは思春期~40代半ばまで担ってきた「直接的な繁殖のための役目」を卒業することができるのです。

生物にとって妊娠や出産というのは命がけの出来事で、生物としての人間にとってもその事実は変わりません。

種の存続のために維持されてきたホルモンバランスが、その役割を終えたことで大きく変動するのは何となく想像できるはず。

妊娠、出産をし、子を育てるために、生物としての女性の体はエストロゲンによって「生殖機能、脳・中枢神経機能、心臓血管系機能、脂質代謝、皮膚、骨代謝」を維持されているのです。

ですから、妊娠や出産、育児という「命がけ」の出来事が多い年代から卒業できると同時に、エストロゲンも「健康維持のための最低限」しか出せなくなるのかもしれません。

ただ、年齢的に生殖の役割を担わなくても良くなったとしても、女性が女性として長い人生をイキイキと過ごせなくてもいいかというと、そんなわけは絶対にありません。

そもそも欧米諸国は女性の自立・自律意識が高いために、女性がずっと自分の心身を健康に維持するためにHRTが積極的に利用されているのでしょうね。

エストロゲンの減少は、女性のQOL(quality of life=生活の質)を下げてしまうことが多いです。

女性の平均寿命が長い日本だからこそ、日本人女性はもっともっと「エストロゲンの減少」についてしっかりと向き合って、自分に適した「エストロゲンの補充」をすることが大事だと言えます。

日本人女性は更年期になりにくい??

先ほどからお伝えしているように、欧米の女性に比べ日本人の女性はHRTによるホルモン治療を受けない人がとても多いです。

日本人女性は米国人の女性と比べて4分の1しかホルモン治療をしていないという報告もあります。

ただ、日本人の食生活には欧米と比較してある栄養素が多く含まれているために「そもそも更年期が軽く済んでいる」なんてことも無きにしも非ず…ということです。

そのある栄養素とは「(大豆)イソフラボン」のこと。

納豆や豆乳に含まれていることで有名なこの栄養素は女性ホルモンと似た作用があるために、こうした栄養素を「日常的に摂っている」日本人女性は潜在的に更年期障害を軽くしているとも言われているのです。

確かに、欧米の女性に比べると、こうした栄養素を摂りやすい環境にはいますが、今や日本人の女性の食生活もすっかり欧米化しているので、現在40代くらいの女性ならすでにイソフラボン効果は昔に比べて減少していることは必須ではと思えます。

投薬による副作用を恐れる人が多い

ホルモン剤というのは、頭痛薬とか風邪薬というような薬とは「薬」と言っても少々種類が異なります。

ホルモン剤はどちらかというと「サプリ」に近い部分があり、更年期障害でHRTを積極的に取り入れる欧米の女性には、ホルモン剤=栄養素を補完しているというくらいの感覚なのかもしれません。

今でこそ不足した栄養素はサプリで…という人も増えてきましたが、日本人女性にはまだまだサプリすらあまり日常に取り入れないよ、という人も少なくありません。

これは薬もサプリも「作用があるなら副作用もあるだろう」と無意識に浸透している考え方によるのかも。

確かにサプリも薬も、使用法や服用する量を間違えれば毒になることはあるでしょう。(基本的にサプリメントは食品に分類されるので、副作用はないとされています。)

しかし、きちんと使用すれば健康を維持できるとっても有効なものなのです。

心身の不調を改善する薬について「副作用が…」と頭ごなしに否定するのでなく、「試してみよう」くらいの気持ちが持てるとイイですね。

すぐに薬が心配な人は、イソフラボンなどを含んだサプリなどから始めるのがおススメですよ。

副作用がどうしても気になるあなたへ

更年期障害によるHRT療法やそこで使われる薬の副作用については何となくわかったけど、やっぱり万が一の副作用がど~~~しても気になるあなたには、このページの最後に「薬ではない」ホルモンの補充法をご紹介します。

食事からホルモンを補充する方法

このページでもちょくちょく登場していますが、女性ホルモンを補充するのに有効な食材に「大豆食品」があります。

納豆や豆乳やエストロゲンに似た「大豆イソフラボン」を摂取できる格好の食材なので、毎日少しずつでも摂取すると◎。

その他にも、女性ホルモンの分泌を助ける「ボロン」を多く含んだキャベツや、ビタミンEを多く含むかぼちゃ、卵、ナッツを摂取するのも食材からのホルモン補充に一役買ってくれますますよ!

サプリからホルモンを補充する方法

まずは、更年期障害にすでに悩んでいる人は、イソフラボンを含んだサプリを探すのが最適でしょう。

そこに女性に優しい生薬などが含まれているとさらにgoodかも。

まだ更年期にはしばらくあるけど、今から自分の体を労わっていきたい!という年代の人には、イソフラボンに加えてビタミンEやビタミンDが含まれたものを選ぶと、閉経後の骨粗しょう症にも備えられるはずです。

他にも、妊活なども考えているよ!という世代なら、イソフラボンやビタミンEやDの他に葉酸が含まれているものを探すと◎!

サプリはそれを摂取することで、体の栄養状態を整えてくれるものなので、効果を最大限に享受するために飲用する際には使用上の注意や量にはくれぐれも気をくばってみてくださいね!