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更年期障害で悩んでいる女性のなかで、多くの人が「これはツライ」と感じている症状は何かわかりますか?
現在進行形であなたもこの症状に悩んでいるのなら、きっと答えは簡単なはず…。
更年期の女性を悩ませる「更年期障害の症状」の1つとは「不眠」です。
えぇ?更年期障害ってのぼせや動悸、イライラだけが症状じゃないの?と思ったあなた。
実は更年期障害で不眠や浅い眠りなどの「睡眠障害」になることはよくあることなのですよ~!
ということで、今回は更年期障害と不眠にスポットを当て、更年期でもぐっすりすっきり眠る方法についてご紹介していきますよ!
何だかすっきり起きられない…それはすでに不眠の初期かも?
人間は1日8時間睡眠をとったとすると、1日の3分の1を「眠っている」ことになる動物です。
これはそのまま単純に考えれば人生の3分の1を眠って過ごしているのと同じこと。
人間の身体を健康的に維持するためには、睡眠というのは欠かせないものであり、非常に大切なものです。
睡眠というのは人間の生理的三大欲求(食欲・性欲・睡眠欲)の中で1番強いもので、自分でコントロールできない最たるものと言われています。
実際に、もし睡眠ができない状況が続いたとしても、我慢の限界は5日程度と言われていて、ヒトは睡眠ができない状況が続くと食べ物がない状況や性欲が満たせない状況よりももっと早く、精神に異常を来してしまうというのが一般論です。
つまり、睡眠することについて、眠りが浅くて何度も起きてしまうとか、なかなか寝付けないことが続いている…という睡眠異常がある場合は、更年期障害でなくてもあなたの心身は「バランスを崩している」と言えるのです。
どうして不眠になるの?
人が正常な眠気を起こすには、自律神経のスイッチ切り替えが大切になってきます。
自律神経は「交感神経」と「副交感神経」からなるものですが、交感神経は「動」を副交感神経は「静」をコントロールしているというとわかりやすいかもしれません。
この動と静のバランスを担っている自律神経が何らかの理由でバランスを崩すと人間は簡単に不眠などの睡眠障害になります。
身近なところでは、大きな発表の場とか、大きな試合があるなどで緊張状態が続いている時は、なかなか「動」のスイッチを切ることができなくて、身体が「静」の状態にもっていけなくなります。
眠りはもちろん「静」の時に起こるものなので、動スイッチが切れなければ、いくらいつも就寝する時間にベッドに入ったところで、心地の良い眠りにつくことができなくなるのです。
不眠と「セロトニン」という物質
あなたは「セロトニン」という物質の名前を聞いたことがありますか?
このセロトニンというのは、脳内の神経伝達物質で、脳の中では「興奮」を伝える神経伝達物質の「ドーパミン」や「ノルアドレナリン」の作用を抑える働きをしています。
ここまでお伝えすると、セロトニンがなぜ不眠と関係あるのか、何となく見えてきませんか?
そうです、セロトニンというのは、上でお伝えした「動」の状態を「静」の状態に導くためにとても大切な物質なのです。
下記に「動」に関する神経伝達物質の代表的な2つをご紹介します。
ドーパミン
一般的に「やる気をだすため」の神経伝達物質と言われます。
たとえでは「馬の鼻先のニンジン」ということをよく言われいます。
馬は鼻先にあるニンジンについて「あのニンジンって食べたら美味しいよね~…」とプラスの想像をしますよね。
こうした「○○を達成したらきっとプラスのことがあるよな~」と期待をしたり、ついにニンジンが得られたときの達成感で分泌されるのがこのドーパミンという物質なのです。
さらに、このドーパミンという物質は、やる気を実際の行動に移すための神経伝達物質「アドレナリン」の前駆体(一歩手前の状態)でもあります。
ドーパミンが分泌されれば、同時にアドレナリンも分泌されることになるので、やる気は行動力を持つことになるのです。
ノルアドレナリン
一般的には「怒りの神経伝達物質」と称されることのある物質です。
ノルアドレナリンは意欲や不安、恐怖と深いかかわりのある神経伝達物質で、神経を興奮させる作用があります。
ドーパミンの項目でも出てきた「アドレナリン」はノルアドレナリンの1部が変化することで生成される場合もあるのです。
このノルアドレナリンはストレスを受けることで放出されるので、怒りの神経伝達物質と言われるようになっていますが、ストレスは何も負のものだけではありませんよね。
例えばとってもびっくりするサプライズパーティーなどがあっても、そのびっくりはストレスとなります。
ストレスというと悪いことを思い浮かべがちですが、良いことがあっても人間というのはストレスを感じているのです。
こうしたストレスで放出されるノルアドレナリンは強い覚醒力をもっているので、ヒトの意識をしっかりと維持することができます。
原初をたどると、動物が敵に遭遇した時に放出されるような神経伝達物質なので、「覚醒」「集中」「記憶」「積極性」「鈍痛性」などの働きももっています。
このため、ノルアドレナリンは交感神経を刺激することになるので、心拍数が上がったり、血圧を上げたりする作用もあります。
……いかがですか?こうした動に対する神経伝達物質が放出され続けると、眠気がやってくるのを遠ざけるのも仕方ない感じがしますよね。
こうした交感神経を刺激しまくるような神経伝達物質に対して「まぁまぁおさまりなさいよ」という役目をしてくれるのが前出した「セロトニン」なわけです。
でも、不眠になるということは、このセロトニンがしっかりと放出されていなかったり、興奮している状態に対してセロトニンが不足しているということなのですよね。
ということで、不眠の状態や眠りづらい、浅い眠りが続く…と言った状況というのはそれが起こっている時点で「あなたの心身に何らかの異常が起きてますよ~」と言えるわけです。
そもそも「きちんとした睡眠」って何?
一般的には理想の睡眠時間は8時間と言われていますが、現代に生きている大人で、8時間睡眠を毎日とれる人というのはごくわずかなのではないでしょうか。
しかも、実は睡眠時間というのは人によって「最適」な時間が異なっているのです。
8時間寝てすっきりの人もいれば、4時間がベスト!なんて人もいるんですよね。
ただ、どんな長さがベストかということは違っても、万人に共通するのは「睡眠の質は良い方がイイ」ということなのです。
長く寝れば睡眠の質が悪ければ良い!なんてことはありませんし、睡眠時間が短くても睡眠の質がよければ本人はいたって健康に過ごせたりするのです。
ではきちんとした睡眠=質の良い睡眠というのは一体どういったものなのでしょうか?
質の良い睡眠とは
テレビの「睡眠」特集や、ベッドや枕のCMを見ていると「質の良い睡眠をとるために」と言ったフレーズをよく耳にします。
ただ、そうした質の良い睡眠をとるための方法に関する情報は、現代では世の中にあふれているのですが「そもそも」論として、質の良い睡眠が一体どんなものかはあまり語られません。
では、質の良い睡眠とは一体どういった睡眠を指しているのかというと…?
「深いノンレム睡眠の時間がとれている」という睡眠のことなんです。
レム睡眠やノンレム睡眠というのは今では多くの人が知識といて持っていると思いますが、ざっと意味を見るとこんな感じです。
レム睡眠
浅い眠り。脳は活動している(起きている時の情報を処理したりしている)。
体は休んでいて、体の活動を表す波形は最低になります。ただ自律神経の状態は不安定です。
ノンレム睡眠
深い眠り。脳が休んでいる眠り。
体は休んではいるが、やや活動している時もある。副交感神経が優位な状態で自律神経は安定してリラックスしている状態。
……さて、このレム睡眠とノンレム睡眠というのは1回の眠りで交互に訪れている種類の睡眠なのですが、実はノンレム睡眠というのには「深さ」があるのです。
同じノンレム睡眠でも睡眠時間の初め当たりのノンレム睡眠と、睡眠時間が進んだあたりのノンレム睡眠では深さが違うのです。
一般的には入眠から近い時間のノンレム睡眠が1番深く、時間を追ってノンレム睡眠とレム睡眠を繰り返すごとに徐々に浅いノンレム睡眠になるとされています。
つまり、寝つきが良くないと充分に深いノンレム睡眠をとることが難しくなるために質の良い睡眠がとりづらくなるのです。
深いノンレム睡眠をきちんととるためには、やはりセロトニンがきちんと分泌される必要があり、セロトニンをしっかり分泌させるためにはちょっとしたテクニックが必要となるのです。
これで解消!心地よい眠気を誘って不眠とサヨナラする方法!
心地よい眠り、質の良い眠りを獲得するためには「セロトニン」をきちんと分泌する必要があると、先の項の最後にお伝えしました。
ではどうすればセロトニンを体内に増やすことができるのでしょうか?
セロトニンと「太陽」
最初に衝撃の情報ですが、実はセロトニンというのは体内で生成することはできません。
つまり体外から摂り入れる必要があるのです。
しかし、これもびっくりなのですが、セロトニンは「そのもの」を通常の生活で摂取することはできないのですね。
セロトニンは体内で増やそうとすると、普通は必須アミノ酸の1つである「トリプトファン」を摂取する必要があるのです。
トリプトファンを体内に入れることができれば、トリプトファンは体内で分解されてセロトニンになるのですね。
ではトリプトファンをたくさん摂るだけでそれは勝手にたくさんのセロトニンに分解されるかというと、それも違うのです…。
摂取したトリプトファンをたくさんセロトニンに分解するためには、ある程度の「太陽光」に当たる必要があるとされています。
これは1日10分、手のひらに当てるだけでも効果があるということなので、日焼けが気になる…という人でもできそうではないでしょうか?
また、太陽というのは質の良い睡眠をとるための「昼夜」のスイッチ切り替えにも役立つので、できれば日中はどこかで少しでも自然光に当たることをおすすめします。
セロトニンとメラトニン
さて、ここまで睡眠に役立つ物質としてセロトニンをご紹介してきましたが、実はここからがセロトニンの睡眠に関する「真骨頂」ともいえる情報になります。
それはどういうことかと言うと…?
実はセロトニンは脳内で「メラトニン」という睡眠ホルモンに分解されるということなのです!!!
メラトニンと言うのは、明るさに反応して分泌を開始する神経伝達物質です。
もっと言えば、周囲が暗くなることで「あ、夜?もう寝るよね?」ということで分泌される物質ということです。
このメラトニンの働きをきちんと行わせるためにも、先にお伝えした「日中の自然光」が大切になってくるんですよね。
日中に明るさを感じておけば、夜の暗さとのギャップを体がしっかり認識できるので、無理なくメラトニンが分泌されるようになるということです。
メラトニンは働きとして、血圧や体温を下げ、眠気を誘う作用があります。
メラトニンの分泌量が充分あれば、一晩中、浅い眠りになることなく、質の良い睡眠を保つことができます。
更年期でも不眠に負けない方法とは?
ここまでずっと、睡眠に関して詳しくご紹介してきました。
ではこの情報が、更年期の不眠のどんな部分に役立つのでしょうか?
生活リズムを整える
更年期の不眠に対してすぐに行える対策では、やはり生活リズムを整えるということがあります。
セロトニンをたくさん増やすために、早く起きて日中はしっかりと自然光を浴びる時間を持ちつつ活動をする、そして夜は早めに周囲の明かりを落としてメラトニンの分泌を促す…。
これだけでも更年期の不眠や睡眠障害をかなり改善することができますよ。
食生活を見直す
セロトニンと「太陽」のところでもお伝えしましたが、セロトニンを増やすには体外から「トリプトファン」という成分を摂取する必要があります。
このトリプトファンは肉類や大豆、牛乳、バナナなどに多く含まれています。
更年期はカルシウムの摂取も心掛けたいので、牛乳を積極的に摂取するとかなり効果がありそうですよね。
ただ、こうした食物からトリプトファンを摂取する時はトリプトファンと一緒かトリプトファンを摂取した3時間後くらいに「ブドウ糖」や「炭水化物」を摂ると良いということです。
牛乳を飲むことが負担ではない人であれば、ホットミルクにちょっぴりお砂糖を入れて飲むと良いですよね。
リラックスを心掛ける
更年期でイライラ…怒りっぽい…不安がち…そんな気持ちにさいなまれている人はいませんか?
良い睡眠、質の良い睡眠に何より必要なのは「自律神経のバランスを整えること」でもあります。
いくらセロトニンを増やしても、そのセロトニンでは抑えきれないくらいのドーパミンやノルアドレナリンが分泌されていたら、心身は正常にリラックスはできません。
せっかく増やしているセロトニンの効果を高めるサポートしてできること、それはあなたが穏やかで過ごせるようにすることです。
更年期世代の女性というのはなかなかストレス過多で大変な日々だとは思いますが、あまりにも更年期のイライラが強い!という時は大豆イソフラボンなどのサプリを利用してイライラを抑えることも大切。
他にも不安が強い人はやる気が出る系のサプリを利用して、「動」と「静」の切り替えがつきやすくするのも大事です。
女性の更年期に効くサプリは、更年期の特徴的な諸症状だけでなく、美容や老年期に備えた栄養補給ができるサプリもたくさんあります。
どうも寝つきが良くないな…と思い始めた時から、こうしたサプリを利用して、更年期の心身状態が悪化し過ぎないように気を付けたいですよね。