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女性は更年期を迎えることで女性ならではの機能を失っていきます。
具体的に言うと、卵巣機能が低下していき女性ホルモンの『エストロゲン』の分泌量が低下していきます。
女性ホルモンが分泌量が低下しても脳は卵巣に女性ホルモンを分泌するように指示し続けますが、体はその指令に応えることが出来ません。
そのせいで自律神経に乱れが出てしまい、身体に様々な症状が出てしまいます。
それを更年期障害と言いますが、そんなつらい更年期の症状を改善する効果のある低用量ピルをご存知でしょうか?
実際はどんなものかよくわからないから服用したりするのが不安になったりすることもあるのではないでしょうか?
- 更年期の症状がひどくて低用量ピルを勧められたけど、副作用がないか不安…。
- ピルを処方してもらったけど本当に効果があるか分からないし、しばらく服用しないといけないから怖い…。
こんな風に感じている女性も多いはずです。
そこでこちらの記事では、そんなお悩みを解決するために更年期とピルの関係をご紹介していきます。
この記事を読むことで、ピルに対しての不安や恐怖心を取り除くことができ、更年期をより良く過ごすことが出来るので、ぜひご参考ください。
低用量ピルにはどんな効果があるの?
低用量ピルには避妊以外にも様々な目的で使用されます。
更年期の場合だと、年齢とともに減少した女性ホルモンを補うことが出来るので、更年期特有の症状を緩和したり改善することが出来るのです。
具体的には生理周期の影響で起こる女性ホルモンのバランスを一定に保つ効果があり、それによって心身の不調を改善・緩和することが出来るので、症状が安定します。
特に更年期を迎えると女性ホルモンの分泌が急激に減少する影響で生理痛がひどくなったり、ニキビなどのお肌のトラブルといった様々な症状が出てきます。
それらの症状に悩む女性にとってはとても効果があるものと言えます。
ですが、症状によっては低用量、中用量、高用量と使い分けないといけないという難点があったり、場合によってはホルモン補充療法にしないといけないこともあるので、気になる症状がある場合はかかりつけの医師としっかりと相談してから服用するようにしましょう。
リスクや副作用はないの?
医療機関で処方される定量量ピルは女性ホルモンの含有量が効果のある量をギリギリにしています。
なので、大きな副作用は少ないといわれているのですが、実際はどうなのでしょうか?
実は稀になのですが、乳がんや子宮がんなどの婦人科系のがんや血栓症、動脈硬化といった命に関わる病気を引き起こすリスクというのがあります。
ですが、発症率としてはおよそ10万分の1くらいの割合なので、かなり少ないといえます。
ただ、発症リスクを高めるような行為である喫煙や肥満体型の場合は注意が必要です。
特に1日にタバコを1箱吸ったり体重が平均体重よりも大幅に太っている場合はかなりのリスクがあるので、処方してもらう際はしっかりと医師に相談しましょう。
また、それ以外にもちょっとした副作用も存在します。
副作用の中に頭痛や吐き気、ニキビ(肌荒れ)、胸の張り・痛みといった症状や不正出血や微熱が出ることもあります。
ピルにもいくつか種類があり、それぞれ副作用の出方が違ってきます。
またこういったちょっとした副作用に関しては長期的に服用することで、症状は治まってくることが多いのが特徴です。
あとはピルを服用することで体重が増加することがあります。
それはピルに含まれているプロゲステロンという女性ホルモンが関係していて、プロゲステロンは生理であったり妊娠のために身体の栄養不足を防ぐために脂肪を溜め込む効果があります。
理屈で言えば生理になると体重が増加する人っていますよね?
それと同じ効果がピルにもあるのです。
ピルを服用した人が全員太るわけではないのですが、更年期のつらい症状が続くよりも全然良いと思いますし、実用価値はあると思います。
なんで更年期に低用量ピルを服用するの?どんな人に効果があるの?
更年期を迎えることで女性ホルモンのバランスが乱れ、不正出血や月経前症候群の症状がひどくなったり生理周期の乱れが起きやすくなります。
それ以外にもニキビや肌荒れを引き起こしたりすることもあるので、その治療に低用量ピルは最適なのです。
更年期初期の段階の治療目的として服用することに関して言えばこの低用量ピルはもってこいということですね。
そもそも低用量ピルに含まれるホルモンの分量は少ないので、副作用のリスクも少なくちょっとした副作用が出てもしばらく服用を続けることで和らいでいきます。
このように更年期の症状に対しても効果が期待できるので、医師から処方されることがあるのです。
また低用量ピルは含まれるホルモンの量が少ないので、更年期を迎えていても閉経をしていない場合や症状があまりひどくない場合に効果があります。
逆に症状が重い場合は低用量ピルを服用しても効果が無かったり、場合によっては更年期の症状を悪化させてしまう可能性があるので注意が必要です。
また、更年期でも若い世代の女性がなる『若年性更年期障害』の症状にも効果が期待できるのですが、妊娠・出産を希望している場合はピルを服用することで排卵が起こらなくなるので、よく考えて服用するようにしましょう。
そもそも低用量ピル(OC)ってどんなもの?
低用量ピルというのは婦人科などの医療機関から処方してもらうお薬で、近所のドラッグストアや薬局で手に入れることが出来ません。
あまり身近なお薬ではないので、知らないことが多いのではないかと思います。
ちなみにピルと聞くと更年期よりも避妊に対してのイメージが強いのではないでしょうか?
実はこのピルというのは、生理痛や経血の量を減らす効果もあるのです。
それにプラスで女性ホルモンが含まれていることから、更年期障害に悩む女性にも効果を発揮してくれるので服用される人も増えてきています。
ピルにはいくつか種類があり、服用の仕方がそれぞれ違ってきたりするので、もし更年期治療に取り入れたい場合は医師と相談の上、服用方法をしっかりと確認しておく必要があります。
今回ご紹介する低用量ピルというのは『高用量』『中用量』のピルと比べると、含まれている女性ホルモンが少ないのが特徴です。
それと低用量ピルにも大きく分けると2種類あり、日ごとに女性ホルモンの量が変化する段階型ピルと、女性ホルモンの量が一定の一相性ピルが存在します。
服用する際は自身の生活習慣や症状に合わせたものを選択しましょう。
一相性ピル
一相性ピルは低用量ピルの服用している期間の間(28日)は摂取するホルモン量が変化することがないのが特徴です。
そのメリットとして…
ピルの効果が問題なく続く
生理周期の調整をしている場合は一相性ピルの方が効果が高い
といったメリットがあります。
そしてデメリットは…
偽薬というものを一緒に処方され、飲む順番を間違えたり服用する量を間違えると効果が弱くなったり不正出血を引き起こしやすい
ということがあります。
もし服用するときには順番をしっかりと把握しないといけないわずらわしさがあるのですね。
段階型ピル
1回の服用期間で薬の中に含まれる2つのホルモンの配合比率が段階的に変えるピルのことを言います。
この段階型ピルのメリットとして…
- 1回の服用期間中に飲むホルモン量が少ない
- 血液検査で測定できる成分に大きな影響を与える心配がない
- 正しく服用することで避妊効果もある
- 経血の調整が出来る
- 消退出血(子宮内で剥がれた子宮内膜が体の外へ排出される時に出る出血)があればピルが効果を発揮していると確認することが可能
といったようなメリットがあります。
その逆にデメリットとして挙げられるのが…
- 薬を飲む順番がきちんと決まっているので、順番を間違えてしまったりしやすい
- 個人差はあるが、摂取するホルモンが変わることで頭痛などを起こすことがある
- 消退出血や胸の張りといったように、生理中や生理前と同じような症状を引き起こしやすい
というようなものがあるのです。
医薬品というは効果が高い分、何かしらのデメリットを持っています。
もし服用をする場合は注意が必要です。
なにか違和感を感じるようであれば、必ずかかりつけの医師に相談しながら使用をしましょう。
ピルには正しい飲み方がある!
ピルは他の薬のように食事の後に決められた数の量を一定期間飲むのとは違い、21日間の服用したあとは1週間は服用しないというルールがあります。
ですので基本は21錠1シートとなっていて、飲み終えたら1週間は服用しないようにします。
ただ、服用を再開するのを忘れてしまうこともあるため、28錠1シートにして、7錠は偽薬になっているものもあります。
飲み忘れやの見間違いが起こる可能性がありますが、毎日決められた用法・容量を守って飲まないとトラブルを引き起こしてしまうので注意が必要になります。
正しい飲み方で服用することで症状を改善することが出来るので、きちんと用法・容量を守って飲み続けましょう。
ピルを飲み忘れた!そんな時はどうしたらいいの?
1日だけ忘れた場合
低用量ピルを飲み忘れたのが1日であれば、気づいた段階ですぐに薬を飲み、その日に服用する分も普通に飲みましょう。
その日だけ2日分服用するようなことになります。
1日に2日分のピルを飲んだからと言って大きな副作用はないのですが、それが続かないように注意しましょう。
2日以上のみ忘れてしまった場合
低用量ピルを2日以上続けて飲み忘れてしまった場合は残った薬を飲むのを1度ストップして、次の生理を待って新しいシートの薬を飲み始めましょう。
残った分は飲み間違いなどを防ぐため途中から服用することがないようにしてください。
ピルを飲めない人はいる?
ピルは普段から喫煙(1日15本以上タバコを吸っている場合は処方してくれません)をしていたり、肥満体型、高血圧などの血栓症のリスクがある人や、婦人科系のがん(乳がん・子宮頸がんなど)を経験・疑いがある、糖尿病になったことがある人もしくは疑いがある場合は服用が出来ないのです。
また40歳以上の女性にはピルを処方できない場合もあります。
服用できたとしても制限があったりするので、きちんと医師の指示に従う必要があります。
特に40代を超えると血栓症や動脈硬化のリスクが高くなるので、疑いのある人には命にかかわることなので医師も処方できないのです。
低用量ピルって保険適用される?値段はいくらくらい?
低用量ピルの費用は、何の治療目的かによって費用が大きく異なります。
実際、更年期の治療目的の場合は保険適用外ですべて実費となります。
ピルの種類にもよりますが、薬代だけでも1月分でおよそ3,000円前後となっていて長期間服用するとなると負担が大きいのがネックです。
ですので、長期的に低用量ピルでの治療が困難であればサプリメントなどで対策していくのも良いと思います。
ホルモン補充療法(HRT)について
先ほどからちらほら名前が出ていましたので、ホルモン補充療法のことについてご紹介していきます。
このホルモン補充療法というのは、更年期を迎えた女性のために分泌量が減少した女性ホルモンであるエストロゲンを補充する治療方法です。
更年期の症状に対して根本的に治療が可能なもので、もともと体内に存在する女性ホルモンを使用した治療方法なので、安全性や効果が高いのが特徴です。
ホルモン補充療法の効果とは
のぼせやほてりなどのホットフラッシュや不眠・睡魔が襲ってくる、腰や関節の痛み、倦怠感、美肌、物忘れといった更年期の様々な症状に効果が期待できます。
それ以外にも更年期を迎えることで女性ホルモンの分泌量が減少したことにより、骨粗しょう症や心臓病のリスクが高くなるのですが、この治療方法には骨密度を高めることで骨折や骨粗しょう症の予防も可能なのです。
また、心臓病に対しても血管の柔軟性を高め、心臓病や動脈硬化などのリスクを下げることもできます。
治療方法について
治療方法については3種類あり、貼り薬と塗り薬、そして経口薬が存在しています。
貼り薬による治療方法
貼り薬の場合はお腹回りや腰回りに貼る方法です。
薬を貼った部分から皮膚を通ってエストロゲンが血液に入り込みます。
皮膚から直接エストロゲンが取り込まれるので、内臓の負担が少ないのが特徴ですが、皮膚にかゆみやかぶれなどを起こすこともあります。
塗り薬による治療方法
主にジェル剤を使用して皮膚から血液中に女性ホルモンのエストロゲンを送る治療方法です。
貼り薬同様、皮膚から直接成分を入れるので内臓への負担が少ないが特徴です。
また、こちらも貼り薬と同じように皮膚にかゆみやかぶれを引き起こす可能性があります。
経口薬による治療方法
錠剤タイプの治療方法で、薬を飲むと胃で吸収され、肝臓から血液に入っていきます。
なので、貼り薬や塗り薬と比べると胃や肝臓に負担がかかるので、胃の調子や肝臓の調子が悪いと服用することが出来ないというデメリットがあります。
ホルモン補充療法のリスクや副作用
ホルモン補充療法の主な副作用として挙げられるのが『不正出血』『胸の張り・痛み』『おりものの増加』『吐き気』『下腹部の張りや痛み』などがあります。
こういった症状は薬の量を調整したり頻度を変えることで症状を改善することが出来ます。
また、生理のときみたいな出血を引き起こすことがありますが、そういったものも薬の量を調整することで改善が可能です。
もしこのような症状が気になるようであればかかりつけの医師に相談することをおすすめします。
ホルモン補充療法の費用について!保険適用は可能?
ホルモン補充療法の費用に関しては更年期の症状を改善する目的であれば保険適用が可能となっており、費用は割安で済ませることが出来ます。
およそではありますが、1番費用の安い経口薬が1か月あたり3,000円くらいなのですが、処方される薬の種類(貼り薬・塗り薬)によって費用が変わってきます。
貼り薬のタイプになると5,000円~7,000円くらいの費用がかかってくるので、診察代金を含めても最大で大体1万円くらいで済むと考えといた方が良いでしょう。
まとめ
いかがでしたか?
低用量ピルについてのメリットやデメリットはご理解できたでしょうか?
更年期を迎える時期というのは生活環境が大きく変化しやすい時期でもあります。
そのせいでストレスや不安を抱えてしまって、更年期の症状が悪化させないようにケアしていくことが重要です。
そのためにも普段から対策をしっかりととったり、薬の服用をしっかりとしていきましょう。
そして更年期と上手に付き合って乗り越え、より良い日々を過ごせるようにしていきましょう。